
クシタニ春モデルの定番であるK-2400アメニタジャケット ブルートーン、買ってきました。
これまでクシタニジャケットを10着以上買っていますが、実は春モデル、冬モデル通してアメニタジャケットを買うのは初めて。特に意識はしていませんでしたが、昨年モデルからカジュアル系ジャケットがアーカナシリーズに変わってしまい、これまでのレイジャケットやアーバンジャケットといったモデルがことごとくディスコンとなりフード付きのカジュアル系モデルが実質アメニタジャケットだけになってしまいました。ベクトルジャケットっていうのもありますが、これはちょっと特殊なモデルなので、ツーリングに使うカジュアル系ジャケットが、ほぼこれ一択になってしまったことから、買えるうちに買っておこうと、行きつけのクシタニプロショップで確保。なお、アメニタジャケットは大変人気も高く例年売り切れとなることが多いのですが、幸い今年モデルはまだまだ残っているようです。
フード付きモデルの件については最後に記載しておきますが、ちょっと気になる事が実はあります。それはさておいて、まずは今年モデルのアメニタジャケットについて…
第一印象はとにかく軽いってこと。生地も何となくペラい感じもしなくはありませんが、厚みはともかく生地自体はしっかりしていそうな生地です。以前の最終レイジャケットを彷彿とさせるリップストップっぽいを生地を採用しており、生地自体の強度はきっちりと確保されていそうですね。
細かいディティールを見ていきますと、

袖回り。ベルクロで締めこむタイプですが、きちっと締めこまない時用のベルクロが装着さえています。これによって、予想外のところとの密着を防ぐことができます。これが装備されていないと、全く関係ない腕周りやフロントファスナーとの予期せぬくっつきを防止できますね。意外とこの締めこまない時用のベルクロって装備されていないものが多かったりします。

同じくフロントファスナーの下側部分。ファスナーでタンクを傷つけないような配慮がなされています。こちらもベルクロで接着可能。その左右横にボタンホールのようなものが見えていますが、こちらはポケットに浸水した場合の水抜き穴。芸が細かいです。ゴアテックス製品とかだと当たり前にありますし、クシタニの場合、アロフト系ジャケットにも装備されています。

首元のファスナー部分。簡易防水ジャケットなので止水ファスナー装備。とはいえあくまでも簡易防水なので、アクアジャケットのようなファスナーを隠すフラップは付いていません。

上腕部のエアインテーク。この部分も止水ファスナー。また、エアインテークの下に見えるのが、腕周りを絞るためのフラップです。サイズ感の調整とバタつき防止のアイテムですね。

ちなみにファスナーを開けると中はメッシュ生地となっており、この部分から走行風をジャケット内部に取り入れられるようになっています。

背中側。肩あたりの色の切り替えし部分でエアインテークから導入された空気がここから排出されるようになっています。ちなみに下側あたりの部分にジャケットを絞るためのドローコードが配置されているのが見えます。

上側がメッシュになっています。走行風が抜けていくところです。ただし、アクアジャケットやアロフトジャケットのように完全に閉じることはできません。ベルクロで被さる上部生地部分をくっつけることが可能な程度なので、エア抜けは基本的には優秀であると思います。インテーク側を閉めておけばあまり影響はない部分かと思いますが、ここが常に開いている状態なので、ジャケット内部に留まった湿気を逃がす効果は非常に大きいと思われます。

昨年モデルから採用されたフロントファスナーの二重化。サイズ感の調整とエアインテークの超大型化ともいえますが…


フロントの拡張部分をメッシュ生地にして、エアインテークとしても利用してやろうじゃないか!という昨年モデルから採用された大型エアインテークです。個人的にはちょっと…?と思っています。理由は後ほど。

フード部分。他のフード付きモデルと同様、フードを纏めるためのタブが付いています。フードは取り外せた方が良いという意見もあるようですが、クシタニ製品においてはこれまでフードが取り外せたモデルはなかったように思います。頑なにフード付きモデルはフードを取り外せるようにはしていません。これについても後ほど。

内側。背中側にベンチレーションソフトパッド、肩と肘にはTHIN CEプロテクターが装着されています。

内側の生地はメッシュ素材で通気性が非常に良さげではありますね。
さて、考察ですが、まず、フロントファスナーの二重化についてです。
正直メリットはあまり感じません。確かにクソ暑い時には有効ではあると思います。ただ、実際に着用した感じだと、中心点がズレるという点。つまり、正面から見た場合、ジャケットの中心点が体の右側にややズレるという事なのですが、これの影響なのか着用感がやや左右で違和感を若干感じます。具体的には首回りなのですが、フード部分のあごに当たるところが違和感を感じてしまいます。クシタニサイトのYouTube映像でも中途半端な位置でファスナーを止めると、つまり完全にファスナーを締め切っていない状態だと、メッシュ部分が首に当たってしまっています。おそらくこれが原因かと思いますが、首回りに違和感を覚えてしまうのです。また、全体的にも体の右半分にゆとりが出るためなのか何となく違和感を感じてしまうのです。
今年モデルからフロントファスナーの二重化が他のモデルでも積極的に採用されていますが、これはおそらくこれまでのクシタニ製品のサイズ感が比較的タイト目だったことから、もっとゆとりが欲しい、さらに言うならば、これまで着用できなかったいわゆるメタボな人達にも着用できる機会を増やした、という事なのではないかと考えてしまうのです。クシタニ製品はどちらかというと高機能であり比較的高価格な製品群でしたから、あえて言うならば着られる人を選ぶライディングウェアとも言えると思うのです。当然高価格なので、それなりの年齢の方でないとおいそれと買えるモノでもありません。しかし悲しいかなそれなりの年齢の方は体形もそれなりになってしまっており、着たくても着られないという状況になっていたのではないでしょうか?昨年モデルからのフロントファスナー二重化により胴回りがおよそ5㎝ほどゆとりが出ています。これだけでもこれまで着用できなかった人々が着られるようになった、という事が大きいのではないかと思います。こう思い当たった理由の一つが、今年モデルのメッシュジャケット。メッシュジャケットにもファスナーの2重化が採用されており、これこそがメタボ体形の人々の救済措置なのではないかと思った最も大きな理由です。
二つ目。フードが取り外せない理由。ほかのメーカーではフードは脱着式というライディングジャケットも多くあるように思われます。しかし、クシタニの場合、過去モデルは分かりませんが、私が知る限りのモデルではフードの脱着はできません。
これは分かりやすいと思いますが、一番大きな理由はデザインが崩れるから。他のメーカーのフード脱着式の場合、ベースとなるモデル、おそらくクシタニで言えばコンテンドジャケットのような首回りがシンプルなモデルにフードを取り付けたというような恰好になっていると思います。つまりフードなしでもデザインが崩れないという前提があるのです。そのデザインにフードをくっつけていると言えばわかりやすいでしょうか?逆に言えば、フード脱着式の場合はフードなしでも破綻しないデザインになっているはずです。
ところで、クシタニのフード付きモデルはことごとく首回り、特にファスナーを最も上げた状態で着用するとかなりあごに近い位置まででファスナーが全閉となるはずです。つまり、首からの防風性や雨が降った時の防水とかといった実用的なことを考えると、クシタニ製品の「あごに近い」という点が実用性としては優れているのではとも考えられるのです。そういった製品のフードを取り外し可能としたら、おそらくデザイン的にかなり無理な、もっというと首回りが大きく開いたデザインになってしまうと考えられます。また、両立させようとすると、フード自体を頭巾のような形状にしないと無理なような気がします。コスト的なものを考えてもかなり無理をしないと両立は難しいと考えます。そのためフードのバタつきを抑えるタブを装備することで、デザインと機能性を両立させているものと思われます。
実際、個人的にはクシタニ製品のフード付きジャケットは今の方法がベストだと感じます。ただ、先に書いたようにフード付きモデルが年々減少していることから、今後フード付きモデルがさらに減っていくかもしれません。着目点としては次の冬モデルでアロフトフードジャケットが残るか、あるいはアロフトショートジャケットに変わるかが注目されるところだと思います。一時のなんでもかんでもフード付きモデルっていう状況から流行りが変わってきているのかもしれませんね。
フード付きライディングジャケットの今後の状況はどうなのか?ということで、過去モデルはどうだったのかをちょっと調べてみました。
2017年の春夏モデルのテキスタイルジャケットラインナップは、当時のカタログを見てみると以下の通りとなっています。
スポーツ系ジャケット=K-2302モードスポルトジャケット
カジュアル系ジャケット=K-2303エクスパンドアメニタジャケット、K-2308レイジャケット
ヘリテージ、クラッシック系ジャケット=K-2304ミューラージャケット、K-2305スワンクジャケット、K-2313ヘリテージツアージャケット
ベーシック系=K-2306チームジャケット
以上7モデルのラインナップ。
メッシュジャケットとして
K-2307マッドスポルトジャケット、K-2309フルメッシュジャケット、K-2310フルメッシュパーカージャケット
の3モデルが設定されています。
こうして過去モデルを改めて見直してみて、自分も今気が付きましたが、実はフード付きモデルはフルメッシュパーカージャケットの1種類しかありません。メッシュジャケット以外ではフード付きは一つもなかったのですね。当時のアメニタジャケットはフードなしだったことに改めて驚いた次第です。
こうして見ると、いかにフード付きモデルがここ数年での流行りかが良くわかりますし、今後の流行が変わって、フード付きモデルが一気に減っていくかもしれません。
ただ、ここ数年でのアウトドアブームと相まって、アウトドアウェアとしてはフード付きのジャケットが大流行り中なのは間違いありません。これがライディングジャケットにどのように影響していくか?今後のライディングウェア界隈でも注目していく必要はあると思います。